応急危険度判定士

 被災建築物応急危険度判定士の講習会を受講しました。これは地震が発生

した後に、被災した建築物の危険性を判定するためのものです。余震による

二次災害の防止を目的とし、被災した建物の応急的な使用にあたって危険性

を知らせるものです。(建物の罹災証明とは異なります。)
 被災建物に張る判定ステッカーの色で赤が危険=建物に立ち入るのは危険、

黄色が要注意=建物に立ち入る場合、状態・箇所に応じて十分注意、緑が調

査済=軽微、無被害、となります。
 熊本地震では全国から約7,000人の判定士が活動したとの事です。地震に

関しては全国、いつどこででも起きる可能性がある訳ですが、こればかりは

出動の機会がない事を願いたいものです。

脇野田の家 #22

 新築の住宅は地盤調査が必須となっています。大抵の場合は建設会社・
工務店・ハウスメーカー等の住宅事業者が工事着工前に地盤調査を行い、
その結果によって地盤補強工事を行います。

 

 脇野田の家の場合、専門的な構造計算が必要な構造規模だったので設計

の段階で地盤調査の結果(地耐力)が必要でした。当然、施工会社が決まっ

ていない段階です。そういう事もあり今回は設計事務所で地盤調査を手配
しました。(株式会社ハウスビジョンの地盤WEBシステムを使いました)
 調査の結果、地盤は非常に良好で地盤改良工事は不要との判定でした。
で、念のため、調査と合わせて地盤保証も申し込みました。(保証はいくつ
か種類がありますが今回は20年、不同沈下による損害を保証というもの。
加入は御施主さんではなく住宅事業者なので今回の場合は設計事務所が保
証に入る=保険料も支払うという形です。)
 今回、結果的に地盤調査が建設工事を行う業者さんから切り離された格
好になった訳ですが、これは一般の場合にも可能です。どういう事かとい
えば、建設会社さんの一括請負の場合、地盤改良工事の費用も工事費に計
上されます。地盤調査も馴染の業者に発注し、地盤改良工事も馴染の業者
に発注となれば、地盤改良工事を行う方向にバイアスが掛る可能性もある
かもしれません。調査業者と改良工事業者が同一ならば尚更です。ちなみ
に上記の地盤WEBシステムを使って紐付きを断って地盤調査を行った場合、
従来、改良工事が必要と言われていた割合が凡そ3割低減したそうです。そ
の担保として地盤保証に保険料(3万円)を払っても、地盤改良の費用(50~
100万円)と比べれば、その差は大きいです。

 お施主さんが自らその様なシステムを利用しても結構ですし、設計と施

工を分離して依頼頂けば、我々設計事務所が地盤調査に関しても対応する
事が可能です。

 ちなみに脇野田の家が位置する土地区画整理の一画ですが、両隣の住宅
と斜め向かいの木造アパートは地盤改良工事を行っていました。斜斜向か
いの住宅は改良工事を行っていません。この住宅はたまたま私が瑕疵保険
の検査員でしたので地盤調査報告書に目を通しましたが、地盤はガチガチ
に良好でした。脇野田の家の報告書と照らすと、支持層の深さが地形の高
低に合致しているので、おそらく付近の地層は均一と思われます。建物の
基礎形状・根切り深さ等によって一概の判断は出来ませんが、この状況ど
う思われますでしょうか。設計事務所に設計を依頼頂けば客観的な判断が
可能ですし、仮に地盤改良が必要となっても納得ずくで臨めると思います。

 

 設計事務所は設計監理料を(建設会社の工事費用とは別に)お施主さんか

ら頂くわけですが、いわゆるデザインの他にも、工事の客観性(技術的、品

質的、コスト的に)を担保する役割もあります。そこに価値を見いだせる様
でしたら、是非ご検討頂ければと思います。

脇野田の家 #21

 建物の外形は四角く出っ張りの無い様にというのがお施主さんの希望で
した。モダンという意図ではなく、丈夫で傷みにくいという意味合いで。
実はこういう希望はとても多いです。四角い平面で総2階にしてくれと。
年配の男性は大抵こうおっしゃいます。
 キューブのモダンであればデザインも格好がつくのですが、パラペット
は雨仕舞が心配だから軒は出してくれと。そうすると所謂「家形」で四角
四面な建物になってしまいます。設計者としては何とかそこは打破したい
わけです。今回は高床住宅ということで、外階段を含めたアプローチ空間
を工夫しようと。外階段も外に出っ張らずに中に入れてくれとの事だった
ので、ならば建物の外に出っ張らなければ中側に穴を穿つ分には良いだろ
うと。

 

 


アプローチのポーチです。玄関までにワンクッションあった方が建物の入
り口として恰好がつくのと、冬場などは特に屋根付きの半屋外空間は何か
と便利であろうと。床には稲田石の敷石を配し奥へと方向性を意識しまし
た。RCの壁にはガラスブロックを嵌めて光と影の演出を意図しました。
外階段は木製としました。これはRC階段からのコストダウンがきかっけで
したが、階段というものは元来ストリップの方が美しいと思っていますし、
開放性(明かり・通風)の点でも、またRCの施工性(配筋・型枠の煩雑さ、
仕上がりの難しさ)の点でも木製にして正解だったと思います。

踊り場から見返し。
階段は幅も勾配もゆったりと取ってあります。蹴上150の踏面300なので
公共建築と同じですね。

玄関ポーチには冬囲いのポリカーボネート中空板が嵌められています。冬囲
いなので脱着可能で夏場は外してオープンになります。このポリカの冬囲い
は設計のイメージ通りに施工者さんも綺麗に作ってくれました。
玄関に至ります。

 


家の中の廊下の窓から見返したところです。外のアプローチの様子が一
望できます。来客の気配もわかります。また半外部の空間が建物内部ま
で入り込んで、そこから廊下・ホールと繋がって明かりや風を取り込む
事も意図しました。外形は四角という条件は守りつつも空間に変化と広
がりが出来たのではないかと思います。

脇野田の家 #20

リビング(L)とダイニングキッチン(DK)と和室(和)は、引戸の開閉に

よって、色々な使い勝手に合わせて展開するように意図しました。

 

 DKから見て

DK−L−和;全開

L−DK−和;開  L−和;閉

DK−L;開  L−和−DK;閉

DK−和;開  L;閉

L−DK;閉  L−和−DK;開

DK;全閉

 

リビングから見て

L−DK−和;全開

L−和;開  DK;閉

L;全閉

 

ここにリビングと縁側の開閉間仕切りも加わるので、さらにバリエーション

は増えます。

 

3室の中心には桧の9寸角の柱を配置しました。


LDKの床はコルクタイル。コルクの質感を最大限生かすにはワックス仕上や

オイル仕上と思ったのですが、メンテナンス性、特にDKで使うという事で

ウレタン塗装仕上としました。カタログの小片サンプルでは塗装面の光沢と

硬さが気がかりでしたが、実際に施工してみると意外に気にならず、コルク

らしさ(しっとり感、柔らかさ)が十分に感じられるものでした。

脇野田の家 #19

 生活空間はワンフロアの平屋になります。平面に広がっていくプランニ
ングとなり、いわゆる中廊下が出来てしまうのですが、将来的に車いすで
の通行に支障ない様にと廊下を幅広に取り、またそこにホールを接続させ
ると、廊下と言うよりそれ自体が一つの空間に見えてきました。建物の四
角い塊の中に穴を穿つ様な空間=外部に接した端から光と風が取り込まれ
ます。

 

ホールの手洗いカウンター。
 天板の端が側板からはみ出ています。設計では側板と面で揃えてシュッ
とした箱状にデザインしていたのですが、側板のホゾが刺さるので天板を
面で落とすと小口から割れて来る恐れがあるとの理由で大工さんが勝手に
こうしてしまった訳です。だったら他の組み方があったんじゃないかと思
うのですが、、端を出すならば出すで今度は側板の前面も引っ込めて天板
を出すデザインにしなければいけなかったと思いますし、なかなか難しい
です、、
 天板は杉の無垢材です。生肌の時は源平の赤白が目についてどうかなと
思いましたが、ウレタンクリアの塗装をかけたら非常に落ち着いていい感
じです。なるほどこの赤と白を味わうのがこの材の作法な訳ですね。
 となると、天板の端と側板を揃えた場合、それぞれの源平のつながり具
合も目についてくるとすれば、やはりなかなか難しいですね。

脇野田の家 #18

 引渡しが終わってホッとしている場合でなく、この物件が完了すると

今後の見込みが全く立っていない訳でして、なんとか次の仕事に繋がれ

ばと思い、振り返りつつ紹介していきたいと思います。

 

 


和室ですが、建具を開け放つとリビング・ダイニングと一体になって小

上がり的に使える場所となります。なので違和感の無い様、モダンな和

室というのを考えました。低く抑えた軒先の架構と傾斜にカーテンボッ

クスを兼ねた幕板から当てた間接照明は狙い通りの仕上がり。床の間の

吊り棚はカーテンの束と床の間の緩衝も意図してます。吊りの部材は当

初、木の板材でスリット状の設計でしたが、大工さんから強度、反りな

どの指摘を受け、じゃあアルミの型材にするかとか悩みましたが、大工

さんの提案で黒竹としました。結果的に良いバランスだったかと。仏間

・押入の扉やタタミは縁なしですっきりと。

脇野田の家 #17

お施主さんへの引き渡しも無事終わりました。
計画の段階から遡ると数年に渡る長丁場でしたが、これでこの家は

私の手から離れていきます。設計の仕事はいつもそうですが、ここ

までの濃密な関わりから、フッと旅立って行ってしまうので、竣工

引渡しは、ほっと一安心もありますが、どちらかと言えば寂しさの

方が大きい感じがします。

脇野田の家#16

完成見学会、開催中です。

あいにくの雨模様ですが、ぜひお越しください。

脇野田の家 #15

週末に建設会社さん主催で完成見学会が開催されます。

 

高田地区、新井地区などには今朝の新聞折り込みで

上のチラシが入ったそうです。

(春日山地区、直江津地区は入らないそうです)

 

是非ご来場ください。

(写真よりも現物の方がずっと良いですよ!)

仲町の小さな家

 私が独立して手掛けた初めての物件になります。

 先日、お施主さんから連絡があり伺ったところ、隣地の建物が急に撤去
されたとの事。隣地とは高低差があり、解体前の建物は低い接道側に半地
下車庫の出入り口とアプローチ階段があり、残りの大半は高い地盤面に埋
まっていたのですが、上屋の解体と同時に地盤も接道高さに合わせて更地
になってしまったのです。

 こちら側は境界にL型擁壁を入れてあり、以前は隣地の地盤面より下に
埋まって根入れがありましたが、更地になった地盤面はL型擁壁の底版よ
りもさらに下になります。あちら側の境界にもCB塀とその基礎のRC擁壁
が入っています。解体業者も、さすがにこれを撤去するとまずいと思った
のでしょう、一部壊したところで止めています。
 
 で、お施主さんと隣地所有者の委任弁護士さんとの話し合いに私も同席
しまして、先方さんにゞ界に残っている擁壁を保存してくださいという
お願い∈8紂⇒癖匹鯏欝遒垢訃豺腓六前に相談してくださいというお願
い0貮瑤海舛藺Δ裡矛人癖匹猟貳撚失媽个現れてしまったので、その部
分の擁壁補修の費用の相談、をさせてもらいました。幸い先方さんも話を
聞いて下さり、特にトラブルなくスムーズに納まりました。
 
 さて、この「仲町の小さな家」ですが、いわゆる狭小住宅です。
建物が建つ前の敷地の広さと車の大きさを見てもらえば狭さが分かるかと
思いますが、この狭い条件の中でどれだけ広がりのある空間ができるか、
という事を考えました。ワンルーム+ロフトを空間的に連続させ、狭いな
がらも場所・移動に伴って展開する場面・風景によって視覚的・
知覚的な広がりを感じられるように設計しました。
 
 今やっている「脇野田の家」もそうなのですが、空間と空間のつながり
方、住宅で言えば部屋と部屋のつながりですが、それが機能動線の中で、
できるだけ多様な場面・風景が展開する様に、というのが自分の設計にお
ける主要な部分なのかなと、振り返って、ふと気付いた次第です。

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